2008年10月31日

男あり野菊の歌を聞く日には
2008年10月30日

赤い羽根幼等の声は駅舎に響く
2008年10月29日

靴は皆口を開けたり白秋忌
2008年10月28日

桔梗(きちこう)は光を鎮めてある如し
2008年10月27日

鳩吹けば里は夕べとなりにけり
2008年10月26日

鴨来れば縁の薄き友のこと
2008年10月25日

秋薔薇や季節の門がひとつ閉じ
2008年10月24日

残されて声を限りと縋る虫
2008年10月23日

捨て案山子夜来の雨に震えけり
2008年10月22日

川蟹が寝床盗られし山紅葉
2008年10月21日
燗冷めて皆寝静まる菊の宿
2008年10月20日

爽波忌やひと駅前で降りにけり
2008年10月19日

これほどに足元に湧く稲雀
2008年10月18日

父母知らぬ深山の奥に鳩の笛
2008年10月17日

空高く雲は何を追うのだろう
2008年10月16日

芋抱きて親の元へと走る子等
2008年10月15日

雁行の夕焼け空を貫ける
2008年10月14日

秋夕月真っすぐな道が寂しい
2008年10月13日

瓢の実の笛泣く夕の暗さかな
2008年10月12日

遠き日に連雀の鳴く別れあり
2008年10月11日

身の果てを笑ふがように螻蛄の鳴く
2008年10月10日

水澄めど郷の匂いよ白き鳥
2008年10月09日

旅に来て入り日寂しき枯れ薄
2008年10月08日

はぐれ雲残してさらに空高し
2008年10月07日

愛憎の相半ばして秋の雨
2008年10月06日

旅列車レールに秋の雨しきり
2008年10月05日

秋の野は雨モノクロに降るばかり
2008年10月04日

芯ずれてよろよろ回る木の実独楽
2008年10月03日

高きより鵙は一声発したる
2008年10月02日

稲光その夜の闇の深きこと
2008年10月01日

狭霧来て里の明かりがまたひとつ