「すがる虫」は、残る虫の傍題で、晩秋の季語。 秋が深まった頃、ほそぼそと間の延びた鳴き方をする虫のこと。
一人寝の灯を消したるやすがる虫 (ひとりねのひをけしたるやすがるむし) 季語:すがる虫(秋、動物)
ひつぢ田は、稲を刈った切り株から、また新しい芽が生えた田圃を言う。 稲を刈った後の広々と青いひつぢ田は、狭い山国育ちの私には爽快だった。 子供のころ、よくプロペラ飛行機を作って飛ばしたものだ。
ひつぢ田の青一斉に天領地 (ひつじだのあおいっせいにてんりょうち) 季語:ひつぢ田(秋、地理)
照紅葉は、照葉の傍題。 秋の晴れた日を受けて、鮮やかに照り映えた紅葉のさまをいう。 隠沼は、木や草でみえない沼のこと。
隠沼の魚跳ぬる音照紅葉 (こもりぬのうおはねるおとてりもみじ) 季語:照紅葉(秋、植物)
散歩の途中、畑の片隅に白い花をみつけた。 名前は知らないが、心に感じるものがあった。 帰って調べたが、花の名前は分らない。 句は季語になにを置くか思案したが、秋思、がその時の気持を表せると思った。 初案は ”白き花咲かせ深まる秋思かな”だったが、、?
白き花咲かせて深き秋思かな (しろきはなさかせてふかきしゅうしかな) 季語:秋思(秋、生活)
”秋思” 秋はもの思うことが多い。 この様に秋になり、心に感じたり思ったりすることを言う。 私もいろいろ感じることが多いが、静かな水面を眺めているとその感が強い。
水面の影揺れゐたる秋思かな (すいめんのかげゆれいたるしゅうしかな) 季語:秋思(秋、生活)
ななかまどは、バラ科の落葉高木。 葉の紅葉も非常に美しいが、落葉の後の実が又すばらしい。 そして、湯の町坂の町によく似合う。
(句は以前野沢温泉で見た七竃を、 写真は9月15日の白樺湖畔で。紅葉には少し早かったがもう盛りでしょうね。)
ななかまど赤し湯の町坂の町 (ななかまどあかしゆのまちさかのまち) 季語:ななかまど(秋、植物)
初紅葉は言うまでもなく、今年になって初めて見出した紅葉を言う。 初桜、初紅葉、など、初がつくものは、 盛りと違って新鮮な感じでまたいい。
山里の日は斜めより初紅葉 (やまざとのひはななめよりはつもみじ) 季語:初紅葉(秋、植物)
秋になると、橡、樫、椎、榎、胡桃、等の実が熟して落ちる。 子供の頃はいわゆる、ドングリを拾って遊んだものだ。 木の実が落ち、落葉へと移る季節の雑木林は好きだ。
『木の実』、木の実落つ、木の実降る、木の実雨、木の実時雨、木の実独楽、等。
たつ君に歩幅合はせば木の実落つ (たっくんにほはばあわせばこのみおつ) 季語:木の実落つ(秋、植物)
天意いま吾が後先に木の実落つ (てんいいまわがあとさきにこのみおつ)
背高泡立草はキク科の多年草。 日当たりのよい山野に、黄色い花が泡だっているように見えることから、 この名がついた。 正確には、秋の麒麟草と言う。 俳句に詠むのに難しい季語だ。
疑念ふと揺れて背高泡立草 (ぎねんふとゆれてせいたかあわだちそう) 季語:背高泡立草(秋、植物)
私はベジタリアンなので、肉や魚も一応食べますが、多くは食べない。 しかし秋の代表的な魚「秋刀魚」はすきだ。 それも焼いて大根おろしをかけるのがいい。 秋刀魚は庶民の匂いがする。 (写真は秋刀魚と直接関係ないがイメージで)
秋刀魚焼く常と変はらぬ一日暮れ (さんまやくつねとかわらぬひとひくれ) 季語:秋刀魚(秋、動物)
男とはつくづく寂し秋刀魚焼く (おとことはつくづくさみしさんまやく)
今日は孫(年中)の幼稚園の運動会。 朝9時ごろから午後3時半までビッシリのスケジュール。 我が家は総勢10人の応援だった。 幼稚園の運動会は、親、祖父母のほうが真剣だ。 ファインダーの中の孫は、頼もしくスターだった。
父と子の絆ふかめて運動会 (ちちとこのきずなふかめてうんどうかい) 季語:運動会(秋、生活)
運動会凝視の先の吾子光る (うんどうかいぎょうしのさきのあこひかる)
芋虫は蝶や蛾の幼虫で、毛がなくころころ太っている。 芋の葉をたべることから、この名がある。 突然現れるとビックリするが、よくみると、可愛いらしい顔をしている。 我が家の前のアスファルトにいた、綺麗な緑と頭をもたげた芋虫の顔をみたら、 潰せずに畑の土に返してあげた。
芋虫の頭もたげて憎まざる (いもむしのあたまもたげてにくまざる) 季語:芋虫(秋、動物)
芋虫の潰さず土に返しけり (いもむしのつぶさずつちにかえしけり)
木犀は中国原産のモクセイ科の常緑樹。 いつ咲いたのか、花の姿を見るより早く、その香りで開花を知る。 木犀の香が漂ってくると、まさしく深まりゆく秋を実感する。
傍題として:金木犀、銀木犀、桂の花、等
どこぞより木犀匂ふ日暮かな (どこぞよりもくせいにおうひぐれかな) 季語:木犀(秋、植物)
床屋でて木犀の香の中に入る (とこやでてもくせいのかのなかにいる)
秋の水は清らかに澄んで、気持の良いものである。 とともに清澄さゆえに、深まりゆく秋の寂しさをも感じる。
「秋の水」は水そのものが強調され、同季語の「水の秋」は秋の季感が強調される。 また、同じ様な季語で「水澄む」は、秋の水でも感覚的要素が強い。 どちらの季語を選択するかも一考だ。
のつたりと首出す亀や水澄めり (のったりとくびだすかめやみずすめり) 季語:水澄む(秋、地理)
水澄て水泡白きまま消ゆる (みずすみてすいほうしろきままきえる)
コスモスはキク科の一年草。 メキシコ原産で日本へは明治時代に渡来。 秋の代表的な花で、日本人に広く愛されている。 様々な所で見られるが、私は佐久のコスモス街道で見たのが一番印象にある。
別名:秋桜、おおはるしゃぎく。
蒼天と風とコスモス佐久郡 (そうてんとかぜとこすもすさくごおり) 季語:コスモス(秋、植物)
やはらかき陽射しコスモス日和かな (やはらかきひざしこすもすびよりかな)
紫式部はクマツヅラ科の落葉低木。 花よりも紫の実が美しい。 また平安朝の才媛「紫式部」になぞられた名前が実にいいので、我が家の庭にも植えた。 白の実は白式部。
名のよくて庭に加へし実むらさき (なのよくてにわにくわえしみむらさき) 季語:実むらさき(秋、植物)
白粉花はオシロイバナ科の多年草。 夕方から咲きだし、翌朝はしぼんでしまう。 それに因み、夕化粧の別名もある。
白粉の花より暮れて峡の村 (おしろいのはなよりくれてかいのむら) 季語:白粉花(秋、植物)